エレクトロニクス・フィーバー

プログラミングと電子工作で共有しようと思ったことを載せていきます

信号の経路を考える

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定電流源を負荷とした、2つの純A級エミッタフォロア回路があります。左側はNPNトランジスタ、右側はPNPトランジスタを使用しています。この点を除けば、2つは同じ動作をするでしょうか?

画像に矢印を書いてしまったのでもうわかってしまったと思いますが、明らかに異なります。右側の回路では、抵抗を流れる信号電流は、トランジスタからコンデンサを介してアースに戻る最短ルートを通っています。回路のそれ以外の部分には影響を与えません。一方左側の回路では、トランジスタコンデンサを通る点は同じですが、アースまでの経路に定電圧源を通る遠回りな経路を通っています。つまり、電源に信号電流が流れるということです。

このことが回路の動作に影響を与えるのは、電源は実際には理想的な定電圧源ではないからです。電源に信号電流が流れるということは、電源の出力インピーダンスによって、同じ電源を共有する回路の他の部分に影響を与えます。ステレオアンプであれば、もう片方のチャンネルとのセパレーションが悪くなったりする事が考えられます。

シンプルなアンプ回路として、しばしば左側の純A級エミッタフォロア回路が無造作に使われているのを見ます。おそらく NPN トランジスタや N-ch MOSFET のほうが入手しやすいなどという理由なのでしょうが、ちゃんと考えた上での設計なのかなと疑問に思います。